多系統萎縮症の治療法
更新 2024.01.29
できる治療は何でもしようと思っています。立ち眩みで気を失うので、現在は血圧を上げる薬を飲んでいます。多系統萎縮症にはどんな治療がありますか？
多系統萎縮症の病理が分かって、いろいろな治験が始まっています。
αシヌクレインの発生を抑える遺伝子治療、神経の抗酸化作用があるコエンザイムＱ１０を使った治療等で効果が報告されていますが、治験の段階で、一般的にうけられる疾患修飾療法（原因そのものを治す治療法）はありません。
現状では、脳神経を活性化する鍼治療と、鍼治療後すぐに行うリハビリが効果的な感じがします。他の治療法と比べてもSARAの数値が改善することが多いです。
※SARA-世界的に行われている多系統萎縮症の評価方法
私が書きました
森上鍼灸整骨院 鍼灸師 吉池弘明
神経内科疾患の治療経験36年。医師とは異なる検査【医療用サーモグラフィ】を取り入れ、のべ25万人を検査、治療成果を上げる。自らを「サーモグラファー」と命名。神経内科疾患の鍼治療に欠かせない、自律神経・ストレス状態をデータから読み解き、患者様ひとりひとりに合わせた治療を行っている。はり・きゅうの日生まれ61歳。
いろいろな治療が研究段階です。
多系統萎縮症の症状は多岐にわたるので、お医者様の確定診断に時間がかかっていました。今回、14年ぶりに診断基準が改訂され、前駆症状の基準も制定されたので、お薬の開発も進むのではと期待されています。
シヌクレイノパチーの動物を使ってαシヌクレインを低下させる治療法が効果を上げています。
DNAやRNAをベースにしたお薬で、従来のお薬では治療が難しかった病気を根本から治すと期待されています。
α-シヌクレインのメッセンジャーＲＮＡを標的にしてタンパク質の生成をブロックするお薬の治験が、オーストラリア、フランス、ドイツ、イギリスで始まっています。αシヌクレインが脳に溜まって神経を変性させるシヌクレイノパチーの治験で、先に行われているパーキンソン病からの応用も期待されています。
東京大學のグループを中心にして行われています。現在120例の多系統萎縮症を対症にフェーズ２の治験へ進んでいる様です。
多系統萎縮症は代表的な孤発性神経変性疾患なのですが、まれに家族性に発生することがあります。そうした患者様の協力のもと、遺伝子を調べたところ、コエンザイムＱ１０を合成する酵素を作るＣＯＯ２遺伝子に異常が発見されたとのことです。
細胞内で発生する活性酸素種と呼ばれる毒性の高い分子を解毒する役割を持っています。コエンザイムＱ10は、摂取しても体内に吸収されにくく中枢神経系への移行があまり良くないとの課題を解決するように治験がすすめられています。
動物モデルの脳への神経栄養因子の投与で、運動や病理学的な所見が改善しているとのことです。
神経を元気にするタンパク質の相称です。栄養を与えるわけではなく神経細胞の増殖維持に効果を表し、現在、四種類の神経栄養因子が発見されています。
多系統萎縮症のタイプと進行具合に合わせて、手足のツボから脳を刺激する鍼治療と、自律神経失調の鍼治療、リハビリを組み合わせて行います。
多系統萎縮症の進行を早める疾患が合併している場合、多系統萎縮症と並行して治療をすることで効果が上がります。多系統萎縮症の進行を早める疾患は、脊柱管狭窄症、糖尿病、橋本病、自己免疫疾患等があるようです。そうした疾患もふくめて患者様ごとのオーダーメイドの鍼治療をします。
鍼治療の直後にリハビリを開始すると効果が上がるようです。リハビリは、ＭＳＡ-Ｓでは、バランス感覚をメインにします。ＭＳＡ-Ｐではすくみ感覚をメインに行うと効果があります。合わせて自律神経失調のリハビリも行います。
いろいろな可能性を集めて自然治癒力を高めます。
ゆがみを検査する
多系統萎縮症の進行が早い方は、カラダが歪んでいる方が多いです。大脳基底核への血流の低下が起こりやすくなるので、ゆがみを調べて治療をします。
自律神経の状態を検査する
自律神経には体温中枢があるので体温から自律神経のバランスを確認します。多系統萎縮症の進行が早まる時は、自律神経の状態が悪化することが多いので悪化を未然に防ぎやすくなります。
脳への血流を検査する
日常生活で一番多い姿勢で自律神経への血流状態を調べます。多系統萎縮症を引き起こす患者様は、椎骨動脈の血流が低下していることが多いです。
検査結果に合わせてツボを刺激
検査の結果に合わせて、的確なツボを鍼で刺激していくので、より多系統萎縮症の回復が高まる鍼治療が可能です。
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